2021年2月22日

フリーランスでの仕事が順調に成長したら、法人化を検討したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
一方で不測の事態に備えて、従業員は雇いたくないと考え法人化をあきらめる方も多いと聞きます。
そこで今回は、社員ゼロで社長だけの会社の「一人経営」について、実態と運営方法をご紹介します。
一人経営とは?

一人で会社を経営するとは、いったいどのようなものなのでしょうか。
「ワンマン経営」とはどう違うのでしょうか。
一人経営の定義と実態
一人経営とは、文字通り社長一人だけが在籍する社員ゼロの会社を意味します。
社員を雇うほど会社規模が大きくないものも多く存在していますが、中にはあえて社員を雇わずに社長一人で会社運営をしている場合もあります。
尚、法律上は社長一人で会社を経営しても何の問題もありません。
よく言われる「ワンマン経営」は、一般的に社員を雇いながら、トップダウン型の組織運営を行う経営手法を意味します。
社長一人で経営する「一人経営」とは異なる意味合いです。
これからはマイクロカンパニーの時代
最近、副業ブームにより副業から独立起業への気運が高まってきています。
独立起業される方の中には、YouTubeなどでの情報配信により独立を果たした方もいます。
誰でも情報発信ができるようになった今、YouTubeのような便利なツールでビジネスを成立させることも可能になってきました。
実際にコンサルタントや情報発信ビジネスで起業し、一人で経営を行っている企業もあります。
こうした一人で会社を設立して一人で経営を行う企業をマイクロカンパニーと呼びます。
一人経営のメリット
チームで仕事をすれば規模の拡大を狙えます。
しかし一人経営には大きな組織にはないメリットがあります。
固定費がほぼ不要
最近では固定電話も不要、PCとスマホ、ウェブサイトとSNSがあればどこでも起業できます。
また、法人登記可能なバーチャルオフィスも多く存在しているため、オフィスの家賃も不要です。
自宅をオフィスにしてしまえば、バーチャルオフィスすらいらないでしょう。
また、特に給与などの人件費が発生しないことは大きなメリットです。
つまり一人で経営するビジネスは利益率が高くなる傾向があると言えます。
意思決定が早い

社長一人で会社を経営する場合、当然ですが全ての意思決定は社長一人で行います。
社長自らの判断が会社の意思決定そのものであるため、誰かに相談や報告をする必要なくスピーディーに決裁できます。
マイペースに経営できる

一人経営の大きなメリットがマイペースに経営できることです。
多くの一人経営の会社では株主も100%社長です。
そのため外部の株主から経営状況の改善を求められることもなく、社長がやりたいビジネスをやりたいタイミングで運営できるでしょう。
また忙しいと感じたら社長の都合に合わせて会社を休むなど売上のコントロールができます。
社長のペースで経営できることは一人経営の最大のメリットと言えます。
一人経営の成功法則
一人経営の会社は大規模な企業と比べると常に資源が少ない状況にあります。
そのため一人経営を成功させるにはいくつかの法則を押さえておくとよいのでしょう。
どんな会社にも必要な3つの機能を整備する
スモールビジネスにとって必携の書である「TRACTION」(ジーノ・ウィックマン著)によれば、会社の機能はフロント、オペレーション、バックオフィスの3つに分かれるとされています。
つまりこの3つの機能を揃えることが会社としてうまくビジネスが運営できる条件と言えます。
ちなみにフロントは営業、開発などお客様への価値をつくる機能、オペレーションはお客様に価値を届ける機能、そしてバックオフィスは会社の運営を支援する機能です。
外注を活用してバックオフィスを構築する

3つの機能のうち、最も重要なのがバックオフィスです。
バックオフィスが機能しなければ、請求書の処理や事務作業など付加価値の低い仕事が溜まっていきます。
付加価値の低い仕事のほとんどは何の利益も生み出さないものがほとんどではないでしょうか。
特に社長一人で経営する会社では、社長がバックオフィスの仕事に忙殺されると、売上をつくることができなくなります。
一人経営を成功させるには、必ずバックオフィスの仕事を外注化して付加価値の低い仕事に時間を取られないようにしましょう。
オペレーションを自動化して社長の時間を確保する

次に重要なのがオペレーションの自動化です。
バックオフィスを構築できたとしても、お客様に価値を届けるオペレーション設計がしっかりしていなければオペレーションに忙殺されて新規顧客の獲得が難しくなります。
最近では簡単に自動化できる決済ツールやECショップツールが多くあります。
こうしたITツールを駆使して極力オペレーションを自動化しながら、お客様への価値づくりであるフロント業務に社長の時間を割いていきましょう。
情報価値の分野で勝負する
一人経営であれば、ビジネスモデルにも一工夫必要です。
アパレルやアクセサリーなど「もの」の販売のように、一つの製品に対して製品価値と同等の価格設定が必要なビジネスは一人経営に不向きです。
なぜなら大量生産が得意な大企業に負けてしまうからです。
一人経営は価値を何倍にもできる情報価値の分野で勝負するべきでしょう。
しかし、アパレルやアクセサリーなどの「ものづくり」でも、独自のブランドを立ち上げることで商品の価値を製品価値よりも高く設定できます。
会社と製品、そして社長自身をブランドとして活用しながら情報価値を高めていきましょう。
一人経営の成功事例
一人経営は実際にどのような経営が行われているのでしょうか。
最後に一人経営の成功事例を2社ご紹介します。
イヤホンメーカーA社
一人経営はメーカーには難しいと思っていないでしょうか?
1990年代からオリジナル家電を企画販売するA社は一人経営で成功を収めているイヤホンメーカーです。
中国に提携工場を持ち、その製品は100円ショップを通じて全国で販売されています。
2000年代にはデジタル音楽ブームを機に、それまでの家電企画からイヤホンメーカーへとシフトしました。
その後、低価格で高品質のイヤホンが大ヒット。
製造は提携工場に依頼、販売は卸売業者へ、そして事務作業は代行業者に任せているそうです。
社長は商品企画を行うほか、一人で全国の卸売業者に営業しています。
まさにオペレーションとバックオフィスをうまく機能させている事例です。
人材開発コンサルタントB社
B社はコーチング資格を保有する社長のスキルを活かして研修、人材育成など人材開発コンサルタント業務を運営しています。
社長自らが執筆した書籍により社長自身のブランドを高め、大手企業からも多くの引き合いがあるそうです。
研修実施は事前準備や当日の登壇に多大な労力と時間が必要です。
そのため営業は提携している研修会社に依頼、バックオフィスはスーパー秘書™のような秘書代行サービスを利用しています。
社長自身は研修を通じてお客様に価値を届けるオペレーションにこだわっているため、なるべく社長自身のブランドを高めて自然に引き合いが来るようにしています。
まとめ

今回は一人経営についてご紹介しました。
社長一人での会社経営でも、バックオフィスを外注化により整備できればかなりの売上をあげることができます。
同時に営業やオペレーションも自動化できれば、社長一人でも新たな商品の企画に注力できるでしょう。
ぜひあなたも外注を活用しながら一人経営を成功させましょう。